飯田線車窓展望記 #1/2
(フォトストーリイ取材記 兼 CG解説)
天竜峡は天竜川沿い随一の景勝の地で、天竜船下りと天竜川下りの中継地点だ。ここよ
り南、天竜川は狭い渓谷を行く勇壮な急流となり、ここより北、天竜川は平地を悠然と
行く流れとなる。飯田線による伊那谷の旅を、ここから始めよう。
伊那谷を車窓展望するときは、とりあえず東側の窓に陣取ろう。伊那谷では飯田線は天竜
川の右岸を進む。西側は崖に面することが多い。一方、東側は常に開けていることになるか
らだ。
天竜峡駅をでると、目前に迫っていた山がするすると後退し、にわかに視界が開ける。
前山の向こう遥かに仙丈ヶ岳。待望の南アルプスだ。広々とした果樹園が目
に付き始める。伊那谷はナシ,リンゴの産地として知られている。
前方に見えた小山が、やがて迫ってくる。天竜船下りの港がある時又。天竜川が再び狭
くなるのだ。ここから電車はこの小さな山を迂回して曲がる。小川沿いの谷を行き、トン
ネルをくぐると、再び
視界が開ける。城壁のように石垣を積んだ崖が目に入る。伊那谷は日本有数の発達した河
岸段丘のあるところだ。
駄科、下山村、と進むにつれて、北岳、間ノ岳、農鳥岳と白根の
山々が次々と顔を出す。これらの山がもっともよく見えるのはこの辺り。汽車はカーブに
従って向きを変えるが、名残を惜しんで後ろを振り返ろう。
列車は松川の削った谷を巻いていく。正面に見える丘の上に広がっているのが、
飯田の町だ。切石駅を過ぎ、松川を渡って大きく180度カーブした汽車は、
飯田駅に静かにすべり込む。
(22 Jun. 1996)
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このページの写真は1994年10月、1994年12月、1995年12月、1996年2月、1996年5月に撮影しました。
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